とても華やかで大きめの花びらをつけて咲かせる、「サザンカ(山茶花)」という花をご存知でしょうか?童謡の「たきび」に「サザンカ・サザンカ 咲いた道」という歌詞があります。それで山茶花の名前を覚えた方もいらっしゃると思います。
ですが、見た目や形からすべてツバキの花に似ているため、見分けるのが難しい一種かもしれません。また、種類も多く、様々な花姿をみせてくれますので、一見山茶花に見えない花も、実は山茶花だったということも多くあります。
今回は、山茶花の花言葉、椿との見分けるポイントなどを併せてご紹介します。
山茶花(サザンカ)の花言葉の意味
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見た目華やかな山茶花の花言葉は「困難に打ち克つ」「ひたむきさ」「理想の恋」「ひたむきな愛」「謙虚」となります。これらはすべて山茶花のその美しい花姿が由来となっています。
「困難に打ち克つ」と「ひたむきさ」は山茶花の性質に由来しています。冬の花で、特に寒さが強まる時期に大きな花を咲かせます。その初冬にかけて大きな花を咲かせる姿が、「これから寒くなりいろいろと大変な時期に花を咲かせる、強い花だ」と捉えられ、この花言葉がつけられました。
「謙虚」の花言葉の由来は、花びらを落とすときの姿から由来されています。枯れる頃に、美しく咲いていた大きな花びらを、一枚ずつはらりはらりと落としていきます。
ぼろぼろと実や葉を落とすのではなく、一枚ずつ遠慮しがちに花を落としているところが、儚く謙虚だと捉えられたそうです。確かに雪の積もった景色の中で、一枚ずつ花を落とす姿を見ると、雪に遠慮しているような、そんな姿に見えますね。
基本的に、赤・白・ピンクの色に花を咲かせます。それぞれ違った花言葉がつけられていますので、そちらも併せてご覧ください。
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英語の山茶花の花言葉
海外では日本原産の品種が人気で、もちろん人気なのですが、山茶花特有の花言葉は存在しません。ツバキの仲間すべてにおいて一緒で、その仲間の中に山茶花も含まれているからです。
ツバキの色別、種類別などもなく、二つの花言葉がすべてのツバキ、山茶花に流用されています。ツバキの英語での花言葉は「admiration(敬愛)」「perfection(完璧・完全な)」となりますので、山茶花もこの花言葉で良いということです。
確かに山茶花はツバキ科/ツバキ属になりますが、花の特徴はツバキとは異なりますので、山茶花特有の花言葉があっても良いのにな、と思いました。
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色別で見る山茶花の花言葉
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他の種と比べて、花の色味は少なめです。一般的によく見かける、よく咲く花の色味は赤・白・ピンクの3色です。こちらで紹介する3色の花言葉、うまく特徴を捉えられてるものだと思います。
赤の山茶花の花言葉の意味
濃い目の赤に咲く山茶花の花言葉は「無垢」「あなたがもっとも美しい」「あなたが一番美しい」となります。
「あなたがもっとも美しい」「あなたが一番美しい」の花言葉の由来は、冬に咲く花の最大の見どころが由来となっています。雪景色のなか、一輪の赤い花が咲いているところを見て、ある人はこういいました。
「山茶花の赤が、一面銀世界のなかでとても美しく映えている。この景色のなかで一番美しい」この言葉を聞いた民衆は心打たれ、花言葉として「あなたがもっとも美しい」と付けられました。
確かに真っ白の雪の中に、一輪だけ赤い山茶花が咲いていると、きつすぎず弱すぎないワンポイントアクセントとして、美しく見えるものです。花姿の的を得た花言葉だと思います。
もう一つは「無垢」という花言葉です。山茶花と同じく、冬に咲く花としてツバキが挙げられます。ツバキとの見た目はとても似ていますが、ツバキよりも一回りほど小さな花を咲かせます。花びらも薄く、ツバキよりも儚いイメージを持ちやすいです。
そのため「ツバキよりも儚く無垢」というイメージから、この「無垢」の花言葉が付けられました。比較されるのは悲しいことですが、確かに山茶花には儚いイメージはありますね。
赤い山茶花の美しい見た目をしっかりと抑えた、素敵な花言葉だと思います。プレゼントとしてはなかなか渡しにくい種類ではありますが、「君はこの世で一番美しい」という花言葉を添えて、クリスマスに贈るのも良いのではないでしょうか。
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白の山茶花の花言葉の意味
赤の山茶花とは違い、凛とした姿で可愛らしさもある白の花言葉は「愛嬌」「理想の恋」「あなたは私の愛を避ける」となります。
「理想の恋」という由来は、白く、薄い花びらが重なりあった美しさから、何度も困難を乗り越えて本当の恋を手に入れていくような、まさに理想の恋のようだという見た目から付けられました。
「愛嬌」の由来は、この白い山茶花の見た目が由来しています。白く小さく咲く山茶花に、高貴なイメージもありつつ可愛らしさもある、愛嬌のある強い娘のように見えたことから、「愛嬌」の花言葉が付けられました。
山茶花全般の花言葉は儚いイメージがありましたが、この白の山茶花に関しては、山茶花の可愛らしさを前面にだした花言葉だと思います。
最後の「あなたは私の愛を避ける」という花言葉は、由来元は不明となっています。「理想の恋」の花言葉を中心に考えれば、その理想に手を伸ばそうとしたとき、「もしかしたら嫌われるのでは」という考えが頭を過ってしまい、「きっとあなたは私の愛を避けてしまうのでしょう」ということからついた花言葉ではないか、と考えられます。
この可愛らしさからでは、確かに軽々と手を出しにくいですものね。人間界だと、まさに学校のマドンナやモデルさんなどのことを指すのではないでしょうか。
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ピンクの山茶花の花言葉
柔らかなピンクに色づく山茶花の花言葉は「永遠の愛」となります。淡いピンク色で薄い花びらが何重にも重なっていることから、永遠の愛を表現しているようだと捉えられたことから、この花言葉が付けられました。
赤い山茶花から色が落ち、ピンクに咲くようになったことから、赤い山茶花の花言葉を流用しても良いそうです。今では品種改良が重ねられ、ピンクの山茶花が咲くようになりましたが、昔は赤と白の山茶花しかなかったのかもしれません。
赤の花言葉も、ピンクの山茶花に向いていると思いますので、どちらで解釈されても良いでしょう。
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山茶花の種類などの花言葉に関する豆知識
山茶花には約300種類の品種が存在しています。実はツバキの仲間で、ツバキ科/ツバキ属に入り、「サザンカ群」にはいるものが山茶花と呼ばれます。今回は主要な3種をご紹介します。
まずは山茶花のメインとなっている「サザンカ群」です。野生に生えた山茶花から園芸用品種に改良されて生まれました。一重咲き、または二重咲きするのが特徴で、10月に花を咲かせる「早咲き種」の一種です。
木の形も野生の形に似ていますサザンカ群というのは、この咲き方をするいわゆるグループのようなものなので、そこからまた派生して「品種」というものに分かれていきます。
「千代鶴(ちよづる)」という品種は全体的に白く、外側の周囲がほんのりピンクに色づいた花を咲かせます。一重咲きで、昔から茶華として愛されていた品種です。
「雪山(せつざん)」は、平たい形の花を咲かせ、色味は白です。葉の色がとても濃い緑をしており、白と緑の鮮やかなコントラストを楽しむことができます。
「朝日鶴(あさひづる)」は全体的に白く、濃い赤のぼかしが入った花を咲かせます。サイズは他の山茶花に比べて大きく、花びらも多いことが特徴的で見ごたえがあります。
続いてのグループは「カンツバキ群」です。山茶花の園芸品種に「獅子頭(ししがしら)」という種があり、そこから生まれたグループです。花びらの数が他の群より多く、八重咲きや獅子咲きすることが特徴で、見た目もとても華やかです。
11月~2月頃に花を咲かせますので、上述したサザンカ群と混ざってしまうことがあります。中には、区別をするのが難しい品種もあるようです。
カンツバキ群の名前にもなった「獅子頭(ししがしら)」という品種は、一般的には「寒椿(かんつばき)」の名前で呼ばれることが多いです。濃い目の赤に色づき魅力的な見た目で咲いてくれます。
最大の特徴は「香りがしないこと」です。山茶花はツバキに似た香りを放ちますが、この獅子頭は無臭です。見た目で区別がつかないときは、香りを嗅いで無臭だと獅子頭だという事になります。
公害にとても強く、雨風にも耐えられるため、道路の埋め込みや、道路に面している庭の園芸種として用いられることが多いです。
もう一つは「昭和の栄(しょうわのさかえ)」というちょっと変わった名前の品種です。花の真ん中あたりをピンクに色づき咲かせる、カンツバキ群の代表種です。花びらに斑が入った「斑入り種」も存在しています。木は横へ伸びていく「横張り性」で、枝は斜めに伸びていきます。
最後のグループは「ハルサザンカ群」です。初冬に咲かせることの多い山茶花ですが、この群は2月の中旬から5月中旬の、比較的あたたかい季節に花を咲かせます。春に向かって花を咲かせることから、この「ハルサザンカ」の名前が付けられました。
サザンカ群とツバキの混ざった種で、咲き方は一重咲きや八重咲きなど様々で、花のサイズも小ぶりなものから大きなものまであります。咲いた時にどんな風に咲かせてくれるのかが楽しみな群です。
ハルサザンカ群には「鎌倉絞(かまくらしぼり)」という品種があります。色は濃い目の赤で、白い斑が入っています。ラッパのような形の花を咲かせますので、見た目でも区別がつきやすい種です。
もう一つは「飛竜(ひりゅう)」というかっこいい名前の品種です。とても濃い目の紅色が特徴的で、サイズは小~中ほどのコンパクトな見た目ですが、八重咲きしてくれますので見ごたえは十分にあります。
中には、紅の花色に白の斑が入った「星飛竜(ほしひりゅう)」という品種もあります。「竜」という言葉が入るのでかっこいいイメージではありますが、なぜこの可愛らしい種に対してこの名前が付けられたかは不明です。
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山茶花とツバキの違い
先ほど山茶花はツバキの仲間で、見た目も似ているため区別が難しいとご紹介しました。こちらでは、山茶花とツバキを見分けるポイントをご紹介します。
まずは山茶花の特徴からです。一般的に10月~2月の秋から冬にかけて花を咲かせます。花は完全に開ききるように大きく咲きます。散るときは花びらを一枚ずつ、はらはらと落としていきます。
葉にも特徴があり、短い楕円形をしていて、うっすらと毛が生えています。フチもギザギザしているので触るとわかりやすいです。
続いてツバキの特徴です。12月~4月の冬から早春にかけて花を咲かせます。花の形がカップのようになっていて、完全に花を開くことはありません。葉は細長く、フチはツルツルとしたところが特徴的です。散るときは花びらを落とすのではなく、ぼとりと花ごと落とします。
以上が山茶花とツバキのそれぞれの主な特徴です。特に見分けるポイントは葉の特徴ではないでしょうか。ギザギザとしていて毛のある葉が山茶花、ツルツルしいていて毛のない葉がツバキ、という風に見分けることができそうです。
フユツバキの品種だけは葉にも毛が生えますので、その時は葉の形がギザギザしてるかどうかで区別すると良いでしょう。花の形、パッと見たときの印象は大きく差はありませんが、実は葉に個性があったのですね。
山茶花の誕生花
山茶花の誕生花は10/30,11/3,11/5,11/9,11/16,11/27,12/4,12/10,12/29です。冬の花ですから、冬に誕生花として付けられていますね。山茶花の花言葉を添えて、誕生日に贈ってあげると、特に女性からは喜ばれるのではないでしょうか。
「きみがもっとも美しい」とは、なかなか口か出だしやすい言葉ではないですから、ここは山茶花の力を借りても良いかもしれません。きっと驚き、喜んでくれると思いますよ。
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山茶花の名称・名前の季節
山茶花の名前は中国が由来となっています。中国ではツバキ科の植物を「山茶(さんさ)」と呼びます。この言葉が訛って、本来の読み方である「さんさか」が崩れ、今の「山茶花」の呼び方になったといわれています。
英名でも「sasanqua(サザンカ)」と呼ばれます。山茶花が日本を出たのは江戸時代の頃でした。当時の長崎は出島からヨーロッパにサザンカの名前と花が伝わり、学名もそのまま「Camellia sasanqua(カメリア・サザンカ)」となりました。
このCamelliaの部分は、チェコスロバキアの宣教師「Kamell(カメル)牧師」の名前から付きました。なぜKamell牧師の名が付いた由来は不明のままです。きっと山茶花の花を教会に飾ったりしていたのかもしれません。
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山茶花の季節・開花時期
山茶花は、古くから冬の季語としても使われますので、冬代表の花と言っても過言ではありません。市場に出回るのは10月~2月で、開花するのは11月~12月で、最盛期は12月です。花持ちは5日~7日ほどで、冬の味気ない白い景色を少し彩ってくれます。
花持ちは短めかもしれませんが、ツバキと違ってはらはらと花を散らします。その花びらで彩られた雪も魅力的で、雪に化粧をしたように感じられます。
山茶花の別名は「姫椿(ヒメツバキ)」と「藪山茶花(ヤブサザンカ)」です。ツバキよりも姫のように小さいことから「姫椿」となりました。「藪山茶花」は、ツバキを意味する山茶の読み方を間違えて「さざん」と読んだことから、「藪医者」でも使われる「藪」が付いてしまい、「藪山茶花」と呼ばれることとなりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ツバキとそっくりな山茶花ですが、それぞれの特徴と山茶花の魅力、そして素敵な花言葉をご紹介しました。見た目も香りもそっくりですが、葉の形が違う事、花の散り方が違うことなど、意外と大きな違いが表れていました。
花言葉に関しては、女性としては嬉しい限りの言葉ですし、散る姿まで花言葉になっているほど魅力的な花とわかりました。古くから寂しい冬の庭先を彩る役目を担っていた山茶花、これを機に一度冬に向けて栽培してみても良いかもしれません。