日本ではリラの花としても親しまれているライラックの花。その代表的な色である可憐な薄紫のライラック色はメイクやファッションで使う色の例えとして、JIS(日本工業規格)の慣用色名としても定められています。
ライラックは少し変わった咲き方をすることでも特徴的な花ですが、そこに隠された花言葉には恋にまつわる意味がいくつも含まれています。
今回は、このライラックの花が持つ花言葉を中心に、その成り立ちや名前の由来となったエピソードについてご紹介します。
ライラックの花言葉
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ライラック全体としての花言葉には、「友情」「謙虚」「大切な友達」「青春の思い出」「純潔」「初恋」「愛の芽生え」など若くてフレッシュなイメージの意味がたくさんあります。思い出もしくは青春の思い出という意味は、ライラックの花びらが愛らしいハート形をしていることに起因しており、甘酸っぱい青春の恋などから派生して誕生した花言葉と言われています。
特に欧米では、ライラックが持つ花言葉にちなんで大切な人を送る際に選ばれる花であったり、友情の証としてお互いの門出を祝って贈り合う花としても広く用いられるものです。
ちなみに「謙虚」という意味の花言葉は野生種のライラックに向けて使われることが多いようです。
英語のライラックの花言葉の意味
では花言葉の本場、英語圏ではライラックの花言葉をどう表現しているのかみていくことにしましょう。
まず全体に共通する意味としては誇りを表す「pride」、美しさを表す「beauty」。また恋の予感を意味する「first emotion of love」、さらに日本では歌のタイトルでもおなじみの「first love」つまり初恋を意味する花言葉などがあります。
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色別のライラックの花言葉の意味
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ライラックはその代表的な明るい紫色だけでなく、白や濃い紫、さらにピンクや赤色なども美しい花です。花言葉の世界は花の色によっても違った意味がありますので、ここでは特に紫と白のライラックの花言葉をご紹介してみたいと思います。
紫のライラックの花言葉
紫のライラックには「初恋」や「愛の芽生え」「好き嫌いが多い」といった花言葉の意味があります。恋や愛といったキーワードが多く含まれているのは、小説家として名高いトルストイが自身の作品の中でライラックをモチーフにした恋の物語を書いたことが始まりと言われています。
また花びらは2つのハートが対象にくっついたような形をしていて、それだけでも十分にラブリーなもの。まるで恋する気分を盛り上げるかのような姿をしています。さらにその中で5枚の花びらを持つライラックを見つけたら、それは「ラッキーライラック」と呼ばれる特別なものですから注意してみて下さいね。
なぜなら、花びら5枚のラッキーライラックは意中の相手を落とす恋のおまじないに使える花だからです。この花びらを誰にも見つからないようにして飲み込むことができたら、大好きな相手と永遠に結ばれるという言い伝えが残っているほどです。
ライラックは花言葉の意味だけでなく、ぜひこの花びらの特徴にも注目していただきたいと思います。
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白のライラックの花言葉
白いライラックが持つ花言葉では、「青春の喜び」「無邪気」といったフランス由来の意味とイギリスの恋物語が由来となった「若者の純潔」という意味が有名です。
まず青春の喜び・無邪気については、白のライラックがフランスで青春のシンボルとされていることからつけられた花言葉の意味。そして英語では「youthful innocence」と表現される若者の純潔という意味については、イギリスのこんな伝説から誕生した花言葉だと言われています。
その昔、イギリスの貴族の男性がとある田舎の素朴な町娘と恋仲になり、ほどなく結婚の約束をしました。しかしどうしたことか貴族の男性は都会の女性へと心変わりをしてしまい、町娘との結婚の約束をあっけなく破棄してしまうのでした。
可愛そうなのは町娘。貴族男性の一方的な行為に打ちひしがれ、やがて自らの命を絶ってしまったのです。この町娘を哀れに思った友人が彼女の墓前に紫のライラックを供えたところ、なんと翌日には紫だった花が真っ白に変わっていたと言います。
紫には「好き嫌いが多い」という意味がありますが、一途な想いを叶えられなかった町娘の心が紫を純粋無垢な白に変えてしまったのでしょうか。この伝説が語り継がれるとともに、いつしかイギリスの教会では白い花が定番として植えられるようになったと言われています。
白いライラックの花言葉の中でも「若者の純潔」という意味の裏には、悲しい想いが満ち溢れているようです。
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ライラックの種類など花言葉に関する豆知識
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ヨーロッパ生まれの落葉花木であるライラックですが、中東のアフガニスタンや中国にも自生していて日本でも「ハシドイ」と呼ばれる野生と非常に近い種のライラックも存在しています。現在のところ園芸種としては30種ほどあり、白い花が特徴の「アルバ」、藤の花のような色合いが美しい「ビオラケア」、ピンクがかった紫の「ルブラ」といった品種が代表的です。
さらに園芸品種ともなるとドラマティックなネーミングも魅力の一つですから、特徴的な名前を持つ品種もいつくか紹介したいと思います。
・ライラック センセーション
ワインレッドに近い花色で白の縁取りが特徴のセンセーションは特に香りが豊かなことで人気の品種です。
・姫ライラック ティンカーベル
コンパクトな姿はまさに花の妖精。中国原産でもともと小さなサイズの姫ライラックでも鉢植えにしやすい点で好まれています。
・ライラック マダムレモイネ
八重咲きの白い花が特徴のマダムレモイネも香り自慢。甘い芳醇な香りはマダムの名にふさわしい品種と言えそうです。
以上のように香料としても使われる程の芳しい香りと優れた耐寒性があるライラックは、日本でも北海道では香りのいい街路樹として好まれており、昭和35年には「札幌の木」にも選定されています。
またライラックの花が見る人を圧倒するのはその花の形状にあるでしょう。小さな花が集まって円錐形の穂のような形を作るライラックは、ボリュームのある花の部分と葉のグリーンとが対照的に美しいコントラストを見せてくれます。
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ライラックの誕生花
青春や友情、はたまた悲恋の物語などライラックにはさまざまな意味の花言葉があることをご紹介しました。そんなライラックを誕生日に贈る花として使うなら、1年の内でも次の時が最も好ましいと考えられます。
3月28日
4月7日、12日、13日、19日
5月2日、11日、12日、17日、18日、25日、30日
6月11日、12日、25日、26日
7月16日
この中でも白のライラックがおすすめなのは5月12日と6月12日、26日。紫のライラックは5月30日の誕生花としてふさわしいでしょう。
ここで一つだけ、ライラックを贈る際に注意した方が良いポイントをお教えしておきます。今でこそライラックは友情や青春の象徴のような花言葉がメインでそのイメージも強いものです。ただ歴史をさかのぼれば、何と「婚約解消」を意味する目的で使われる花でもあったようです。
また西洋で紫系の色は悲しみや涙をイメージさせ、独身の女性にあっては婚期を逃す色ともとらえる向きもあります。香りが良くすてきな花ではありますが、現在お付き合い中の恋人はもちろん、これから結婚を控えている女性や人を見舞う際の花としては避けた方が無難ということを覚えておきましょう。
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ライラックの名称・名前の由来
さてこの「ライラック」という花の名前。その由来についてもふれておきましょう。ライラックは英名のLilacをそのままカタカナ表記したものですが、このLilacをさらにたどるとフランス語のLilas(リラ)が由来となっています。
さらにフランス語のリラはサンスクリット語のNila(ニラ)が語源となっていますが、これは花色の紫がかった青色を示す言葉でライラックという花の名前はその美しい花の色が元となって誕生したことがお分かりになるでしょう。
また学名の「Syringa Vulgaris」については、枝を笛の材料としてしていた歴史からギリシャ語で笛を意味する「syringa」が付けられたと解釈されます。和名の「ムラサキハシドイ」については、紫の花の色と枝の先端に向かって集う(つどう)ように咲く花の姿を合体させてつけられたものです。
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季節・開花時期
4月から6月頃に開花する花でもともと寒さに強く、開花の期間も長いのが特徴です。そのため北海道の栽培が盛んな地域では4月から7月にかけてが見ごろの時期となります。また野生の近縁種であるハシドイは開花の時期が少し遅く6月から7月にかけて花をつけることで知られています。
札幌では昭和35年にライラックを市の選定とする前年の昭和34年から「さっぽろライラックまつり」なるイベントが開催されており、花を愛でるだけでなく音楽との融合などを図ったさまざまな企画で人たちを楽しませています。
ライラックの和名であるムラサキハシドイは漢字で書くと「紫丁香花」となります。同じモクセイ科に属する花にはキンモクセイやジャスミンと言った香りの良い花もあるように、ライラックが見ごろを迎えると、辺りが良い香りで包まれ花の季節をより一層感じることができます。地植えすれば高さが5~6メートルほどにも成長しますが、もちろん鉢植えでコンパクトにも育てられる花としても人気です。
まとめ
今回はライラックの花言葉についてご紹介しました。紫の香り豊かな花の世界はいかがだったでしょうか?
ちなみにヨーロッパでは、ライラックのことを「Common(=公共のなどの意味) Lilac」と呼ぶほど親しまれています。また日本でいう「リラの花」のキーワードは、世代を越え実はご年配の方々にも馴染みのある言葉とも言うことができるでしょう。
それは昭和に作られた「リラの花咲く頃」という同じタイトルの歌がたくさん存在するからです。しかも歌謡曲だけに留まらず、シャンソンにもその名を冠した曲を見つけることができます。比較的わかりやすいところでは、中島みゆきさんの「リラの花咲く頃」もあります。この記事をきっかけにリラ(=ライラック)に興味を持たれた方は聞き比べてみられるといいかもしれませんね。