トリカブトの花言葉やギリシャ神話との関係などを解説!

トリカブトの花言葉へようこそ。毒の花として有名なトリカブト、花言葉も恐ろしくあまり良い印象の少ない花だと思います。トリカブトはギリシャ神話に何度も登場し、古代ローマやヨーロッパでも人々から恐れられていた花だとされています。

しかしトリカブトは実のところ、漢方として使われていたり、花言葉にはしっかりとした由来があったりと、トリカブトは知れば知るほど驚かされることの多い花だと思います。

今回はトリカブトの由来や猛毒成分について、あわせてトリカブトとギリシャ神話との深い関わりがある事もご紹介します。

トリカブトの花言葉の意味

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トリカブトの花言葉は「騎士道」「栄光」「人嫌い」「復讐」「人間嫌い」「厭世家」となります。少し怖い言葉も入っていますね。それぞれのトリカブトの花言葉の由来についてみてみましょう。

まず、トリカブトは英語で「monkshood(修道士の頭巾)」や「helmet flower(兜のような花)」と呼ばれています。これはトリカブトの花の姿がそれぞれの頭巾や兜のように見えた事から付いた名前です。

トリカブトの花言葉の「人嫌い」は修道士から、「騎士道」「栄光」は兜を付ける戦士・騎士にちなんで付けられています。修道士は神に誓って禁欲的な信仰生活をする男性を指します。女性は修道女とも呼ばれます。修道士として誓約を立てていますが、決して人間が嫌いなのではありません。

人間の三大欲求のひとつである「性欲」を強く禁止していて、結婚なんてもってのほか、という考え方があります。つまり人生のパートナーを作ることもできませんし、恋愛ですらする事が禁止されています。

この流れから「修道士は人間を嫌う」という見方ができてしまい、そしてトリカブトの花姿に似ていた事から、この花言葉が付けられました。信仰心が強い事は良いですが、この花言葉が付けられたトリカブトは難しい気持ちになりますね。

戦士・騎士が鎧兜を着用して戦場に出向かうのは当時は当たり前の事です。兜のような花姿である事から、戦場に出る男性を待つ女性が、健闘を祈ってトリカブトを贈る事もあったため、トリカブトの「騎士道」「栄光」という花言葉が付けられました。

トリカブトの「復讐」の花言葉は、トリカブトが毒を持っている事が由来になっています。花粉や花びら、すべてに猛毒成分があり、口にするだけで呼吸困難や臓器不全を引き起こします。

綺麗な花にはトゲがある、とはよくいったもので、このトリカブトを使って復讐劇を繰り広げる人々もいたそうです。そしてそのままトリカブトに「復讐」の花言葉が付けられました。なんとも恐ろしい由来ですね。

最後のトリカブトの「厭世家(えんせいか)」という花言葉は、厭世的な価値観を持つ人を指します。「厭世」とは、この世にあるものすべてに価値がないと考え、世の中を嫌う事を言います。

トリカブトの人を殺す事ができるほどの猛毒成分が由来して、この花言葉が付けられました。見た目は綺麗ですがとても恐ろしい花ですね。プレゼントは避け、栽培する場合は取り扱いに要注意しましょう。

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英語のトリカブトの花言葉

トリカブトの英語の花言葉は「chivalry(騎士道)」「Knight-errantry(武者修行)」となります。日本語と違って怖い意味の花言葉ではありませんね。トリカブトの英語の花言葉の騎士道の由来は、花姿から来ているとされますが、武者修行についての由来ははっきり判明していません。

恐らく勝利を掴むために一生懸命頑張る騎士たちを見て、兜の姿が目に焼き付き、この花言葉が付けられたのではないでしょうか。

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フランス語のトリカブトの花言葉

花言葉が世界各国共通ではありません。英語と日本語でも異なっていましたよね。フランスでのトリカブトの花言葉は「復讐」「あなたは私に死を与えた」となります。日本の花言葉より恐ろしくなりましたね。

フランス語のトリカブトの花言葉に由来については判明していませんが、猛毒成分の印象が強かったためではないでしょうか。古代ローマの有名医師・ディオスコリデスが書いた「薬物誌」には「オオカミを捕まえるのに、生肉にトリカブトを包んだものを用意した」と、トリカブトの猛毒性について紹介されるほどです。

トリカブトとギリシャ神話について

トリカブトは遥か昔から存在している花で、ギリシャ神話だけではなく様々な歴史書の中からこの名前が出ています。まずはギリシャ神話からご紹介します。

古代ギリシャにて、冥府の一柱であり魔術の女神・ヘカテーがいました。これは冥府の神・ハデスに次ぐ地位を持つものとされており、ギリシャ神話に登場した当初は、豊穣や出産を司る女神として崇められていました。

3つの体を持ち、天界・地上・下界の行き来ができる力を持ちます。天界では神々の統率を、地上では人類に成功を与え、冥府では番人としても活躍していました。その時一緒に地獄の門番をしていたのは、使い魔である3つの首をもつケルベロスです。

紀元前後には1つの体、3つの顔、それぞれ松明を持った6本の腕がある姿に変化します。3面の姿が、女性の持つ3つの知性の象徴として崇められていました。

後の中世ギリシャ時代、魔術を司る女神であることから「魔女」と呼ばれるようになります。当時の考え方では、魔女を忌み嫌い「魔女狩り」が開始されるようになります。そのため魔女を司る女神は、人々から悪い存在であるとされてしまします。

ヘカテーは決して残虐的で悪い行いをしていたわけではなく、むしろ人類に成功を与えていたはずですが、人間の考え方は年や政治統率者によって変わりゆくものです。

人を殺せるほどの猛毒成分があるトリカブトは、「まるでヘカテーのように恐ろしい」と忌み嫌われ、ヨーロッパでは今も庭先に埋めてはいけないという言い伝えが信じられています。

ヘカテーは神々の争いの中でも止めに入る立ち位置で、他の神とは違い白いものを嫌っていただけなのですが、その強大な魔力がある故に、今でも魔女が信じられている国では恐ろしい存在となっているそうです。

また、このトリカブトの誕生もギリシャ神話からきているとされています。先ほど地獄の番人を、ヘカテーの使い魔であるケルベロスが担っているとご紹介しましたね。

ヘカテーが門番を離れている隙に、英雄ヘラクレスによってケルベロスが襲われてしまいます。地獄から太陽の陽の元へと出されたケルベロスは、苦しさのあまりだらだらとよだれを垂らしていました。そのよだれの跡から咲いた花がこのトリカブトだといわれています。

また別のギリシャ神話のお話でもトリカブトは登場しています。凶暴な魔女・メディアはアイゲウスという男性と同棲していました。アイゲウスには息子テーセウスがいました。妻は逃げてしまったため男手一人で育てた大事な息子です。

ですが、そのアイゲウスと元妻の愛の結晶であるテーセウスを、メディアは妬ましく、苦しく思いました。魔術を使うと犯行がバレてしまいますので、このトリカブトで毒殺しようと試みますが、結果は未遂に終わったというお話です。

ギリシャ神話からは逸脱しますが、古代ローマではトリカブトを「継母(ままはは)の毒」と呼ばれていました。夫の連れ子を殺すのにトリカブトの毒を使った犯行が多かったためです。

そのせいでトリカブトでの毒殺犯行が多くなってしまい、一時期栽培禁止令が出たそうです。なんとも恐ろしい時代だったのですね。

トリカブトに纏わる様々な神話をご紹介しました。どれも毒に纏わる話が多かったですね。昔からこの花は、ある種の武器のように扱われていたとも捉えられます。

トリカブトは日本三大有毒植物

ここまで読んでいただいた方には、トリカブトの毒の恐ろしさについてお分かりいただけたと思います。実は他にも猛毒を持つ花が存在しており、特に猛毒な花を「日本三大有毒植物」として定められています。「要注意」ということですね。

まずはトリカブトの有毒成分についてご紹介します。花粉にまで毒を持ちますが、根の部分に特に強い毒性を持ち、少しかじっただけで舌をビリッとしびれさせ、その感覚は何時間も残り続けます。

致死量は人それぞれとですが、約0.2グラムとされています。古くからの言い伝えでは「1本の根で50人が死ぬ」と言われていたそうなので、その毒性は強力であることがわかります。ほんの遊び心でかじっただけでも危険であるということですね。

誤って服用したり食べたりすると、神経や臓器がアルカロイド毒に犯され、延髄の呼吸中枢に入り込み、呼吸困難を引き起こします。そして最悪の場合、そのまま息絶えてしまいます。死亡例が非常に多く、かじってから数秒で亡くなった例もあります。

続いての三大有毒植物は「ドクゼリ」です。根っこがワサビのような形をしていて、花姿は名前の通りセリにそっくりです。世界中に分布されていて、日本にも多く自生しています。

シクトキシン毒を持ち、呼吸困難から痙攣になり、意識障害が現れ、最後には死に至るほどです。日本でも死亡例が多数挙げられていますので、セリと間違って持ち帰らないように注意しましょう。

最後に「ドクウツギ」です。赤やピンクの実をつける一見可愛らしい見た目をしていますが、それは罠といっても過言ではありません。コリアミルチン毒成分があり、激しい痙攣から呼吸困難を起こしてしまいます。

可愛い見た目であることから、子供たちが誤って食べてしまうことがあり、以前国内でドクウヅキの毒によって子供が亡くなった事故がありました。お子様がいる方は特に注意しておきましょう。

以上がトリカブトを含む、日本三大有毒植物たちでした。どれも残酷なほど強烈な毒を持っていますね。トリカブトは毒殺の道具として扱われるだけではなく、漢方薬としても役目を果たしています。

この毒成分を使って消炎作用や鎮痛を抑える効果があるとされており、手術の際には麻酔薬としても使われています。もちろん漢方で使う際は死ぬことはありませんのでご安心ください。

トリカブトの種類など花言葉に関する豆知識

ここからはトリカブトの種類などの花言葉に関する豆知識を紹介していきます。世界中で約300種類、日本国内では約30種類の生息が確認されています。一般的には紫や青に色づきますが、中には黄色や白、ピンクなど可愛らしい色に咲く種もあります。大きく分けてトリカブトは2種類に絞られますので、この2種類をご紹介します。

まずトリカブトの種類の一つ目は「ヤマトリカブト」です。ギリシャ神話に登場し、有毒植物に定められているのはこの種です。名前の通り高山や山に自生し、山と山の間には素晴らしく広大な花畑を作ったりします。

根は白く、細いニンジンのような形をしており、人間の手のひらのような形で薄毛のある葉を付けます。青紫に色づく花びらに見える部分は、実はがく片が5枚重なった姿です。本当の花びらは、このがく片の中に包まれた2枚の細いひも状のものです。

花粉、花びら、葉、新芽、根っこのすべてに有毒成分があり、山や花畑に紛れて可愛らしく咲くので、誤って摘み取ったり蜜を吸おうとしないように気を付けましょう。

続いて「ハナトリカブト」です。こちらは猛毒成分はなく、園芸品種として人気のある種です。ヤマトリカブトのような猛毒はありませんが、とても微量ながら毒成分はあります。

ですが園芸種として人気が高いため、一番有毒成分を含む根っこの部分は切断されて売られています。そのためハナトリカブトを口にして中毒を起こすことはそう稀にありません。ちなみに漢方薬に使われているのはコノハナトリカブトです。

以上2つが、トリカブトを代表する種となっています。一方は猛毒、一方は漢方に使われていましたね。どちらも見た目は似ていますので、摘み取る際には気を付けてくださいね。

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トリカブトの誕生花

トリカブトの誕生花は7/19,7/25の二日間のみです。ギリシャ神話に登場するくらい古い花ですから、もしかしたら世界各国では、それぞれ独自の誕生花として付けられているかもしれませんね。

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トリカブトの原産地

トリカブトの原産は日本、中国、朝鮮半島です。主に中国から広がったとされていますが、とても古くから存在していた花なので、はっきりと判明していないようです。たくさんの歴史書に登場していたから、無理もありませんね。

トリカブトの名称・名前の由来

トリカブトの名前には二つの由来が存在します。これは中国で行われる舞楽の衣装に、「鳥兜」という帽子があります。その帽子の形をしていることから、この名前が付けられたという説です。

もう一つは、鶏のトサカの形に似ていることから付けられたという説です。どちらもあり得そうなお話ですよね。

ちなみに英名の「monks hood(修道士の帽子)」と「hekmet flower(兜の花)」となります。こちらも花の形がそれぞれのように見えたことから付けられています。

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トリカブトの開花時期

トリカブトは8~10月に開花しますので、季節は夏となります。市場に根っこが切られて出回るのは7~9月です。花持ちは5~7日程度で、風に揺れると小さく揺れる花を長めに楽しむことができます。

トリカブトの花言葉のまとめ

ここまでトリカブトの花言葉について紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?トリカブトの恐ろしさとギリシャ神話を交えてご紹介させていただきました。昔の人々は血気盛んだったこともわかりましたね。

ある時は武器のように扱われて人々の脅威になり、ある時は漢方として人々を助けてきました。花言葉やその毒成分については恐ろしいと感じますが、ギリシャ神話にも登場するほど昔から存在していた貴重な花です。

ですが現在では日本三大有毒植物となりますので、もし見かけても触らず、お子様は遠ざけるようにしましょう。美しい花ではありますので、毒成分のない種を栽培するようにした方が良いでしょう。トリカブトの花言葉でした。

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